- イベントを終えて -
私たちは2013年9月から11月まで八戸に滞在し、ハチノヘのヒミツを自転車で探りました。
とても短い期間でしたし、雨が降ってきたり、お腹が痛くなったりで馬淵川と新井田川の間のほんの狭いエリアの(しかし丹念に)道しか走ることが出来ませんでした。八戸はなんて広く、そして深い!
滞在の最後に、市民の方々からいただいた情報や、私たちやが見つけた「!」や「?」をめぐる6つのサイクリングコースを作りました。本当はもっとたくさんの面白いポイントや自転車で走ると気持ちの良いステキ道を発見したのですが....それは次回のお楽しみ。
みなさんも、ふと、目をとめてみて下さい。
あたり前だと思っていた、気にかけることのない日常のなかに、たくさんの不思議が潜んでいます。
視点を変えることによって、目の前の世界は変わって見えるのです。そして流れるように過ぎる時間を、景色を、情報を、受身で待っているだけではなく、そこからもう一歩踏込んで「なんでなんだろう?」と考えてみて下さい。きっと、世界も人生も八戸も、豊かなもの変わってゆくと信じています。
ガイドブックには書かれていないハチノヘの魅力は、案外すぐ近くにあるものですよ。
2013年11月 ポーワング
「ツール・ド・八戸」は、アーティストユニット「ポーワング」が自転車に乗って、街の特色や不思議、驚きや見どころを探しだし、いくつかのサイクリングコースを作るアートプロジェクトです。
住み慣れた街、よく知っていると思っている街でも、意外と通ったことのない道や、知らない路地があったりしてちょっとビックリすることがあります。
いつもの道も、よく見ると不思議な建物があったり、へんてこな木が生えていたり、はたまた歴史上の重要な場所だったり。さらに地元の人々が何気なく見ている風景も県外の人にとっては驚きと感嘆の場所だったりもします。
そのような、“見ようとしないと見えない側面”に光を当てて、八戸の奥行き、魅力を照らし出します。
- 期間:9月24日(火)〜29日(日)
- 時間:9:00〜21:00
- 会場:1階はっちひろば
- 入場料:無料
- 期間:10月29日(火)〜
11月4日(月・祝日) - 時間:9:00〜21:00
- 会場:1階ギャラリー1
- 入場料:無料
- 期間:11月2日(土)
〜4日(月・祝日)
※完成したコースによって走行時間が違います。
※コースの種類や内容は現在未定です。
詳細は10月下旬にはっちのHPなどで告知します。
時間
2日
- Aコース 10:00〜
- Bコース 13:00〜
- Cコース 15:00〜
3日
- Dコース 10:00〜
- Eコース 13:00〜
- Fコース 15:00〜
4日
- Aコース 10:00〜
- Cコース 13:00〜
- Eコース 15:00〜
- 集合場所:1階ギャラリー1
- 参加料:無料
- 参加条件:自転車の乗れる方、自転車は持参
- 定員:各回10名程度
- 申し込み:前日までにお申込みください
※このマップは国土基本図(八戸市)を使用しています。
はっちのある中心街、横丁がある歓楽街、無数の船が泊っている港、新しい住宅街、歴史的な史跡...八戸は古いものと新しいものが無理なく同居している街です。
それは古いものを撤去し、新しいものを作るという街作りではなく必要な部分だけ撤去し、そこに新しいものを作る。もしくは必要な部分だけ新しく作り替えるという、作り方をするからではないでしょうか。
だから八戸には様々な時代のものが、たくさん残っています。
縄文から現在まで、歴史を点でなく線で感じることができるのです。
それだけでなく、八戸は全然違う分野と共存していくことが得意です。その感覚があるからこそ、工業、水産、農業、酪農、住宅街、歓楽街、里山などが自転車で回れる範囲に共存できているのではないでしょうか。
時代も、分野も違うものが共存している街。それが八戸ではないでしょうか。
いろいろな種類の樹木や蔦を、家の玄関先や公園など、いたるところで見かけます。特に八戸市の木であるイチイ(オンコ)が多いのは、雪は少ないけれど風が強い八戸の気候に適した樹木だからなのでしょう。
街に点在する木々の中に、ちょっと不思議な形にカットしてある木を発見することが出来ます。そのカットには家によって異なる、味わい深い微妙な違いがあります。まるで家庭料理のように。それは、きっと、業者に依頼するのではなく、住民の方が剪定しているからなのではないでしょうか。
自分のルールにのっとってカットされた木や庭の作り方は、西洋的なガーデニングでも古典的な日本庭園でも、枯山水でもなく、八戸独自の方向性を感じます。そして、庭を美しく整えるのは、住んでいる自分達のためというより通りをゆく人の目を楽しませる、外向きのおもてなし心のような気がします。
なんでも自分でやっちゃうDIY精神と、人を楽しませたいエンターテイメント魂は三社大祭の山車にも共通する、八戸気質なのではないでしょうか。
八戸には湧き水スポットが、驚くほどたくさんあります。湧き水というのは、八戸の成り立ちに深く関わっています。
なぜなら、湧き水の周りに街が作られ、銭湯が発達し、漁港が近いにもかかわらず真水が湧き出るので、製氷を作ることができ、その結果、漁港として発展したのです。
八戸の発展は湧き水のおかげ、と言っても過言ではありません。
そして、港とはっち周辺の中心街の間を人々が行き交いどんどん広がりながら街が出来上がっていきました。今でも中心街から港まで、まっすぐな1本の道でつながっています。
美味しいコーヒーや、リラックスできるお湯を届けてくれる湧き水は地球からのプレゼント。八戸は日常的に自然からパワーをもらうことができる希有な土地なのです。
八戸には、新築の家から年期のはいった家まで、同じサイズの、同じフォーマットの家がたくさんあります。歴史的に火災、水害などの災害が多く、家を建替える必要に迫られ、需要が多かったので、同じ規格の家を建てることが多かったのではないでしょうか。
2階に2つの窓があり、1階には車庫、もしくは玄関があるというのが基本の形式なのですが、それがときどき顔に見えるのです。そして1度、顔に見えると、いたるところに顔が...
視点を変えることによって、目の前の世界は変わって見えてくる、その代表格がこのコースではないでしょうか。
大きな道路が街をつらぬき、市民病院が引越し、碁盤の目の新しい住宅地ができ、変わりつつある八戸の街。昔ながらの中心街(はっち周辺)が残っていながらも、もうすでに中心ではなく、街がゆるやかに間延びしているように感じます。
一方で、街には昔からの細い道や路地、小道がたくさん残っています。それらは、たとえば大きな沼を迂回する道だっり、地盤の境界線だったり、小川の脇だったり、生活していく中で必然的に生まれた道がほとんどです。昔から残る道を通ると、目に見えないと思っていた地盤や地質だけでなく、その土地の記憶も見えてくるのです。
今までの暮らしに根付いた道の上に、車社会に適した道という、 新しいレイヤーを重ねているのが、現在の八戸の街なのではないでしょうか。人にも車にも優しい街づくりのために、まず自分の住む街がどんな街づくりをしていて、どこへ向かっているのか、感じ取ることは大事なことなのではないでしょうか。
2012年度公募で選ばれたアーティストユニット。
牡丹靖佳・ヒロキチのユニットで2000年から活動。東京を中心にオランダ、スコットランドなど世界各地で作品を制作・発表。見慣れたものの中に潜む要素を少しだけいじることで、新しい見え方を提示したり、日常に疑問を投げかけるような作品を制作しています。
八戸ポータルミュージアム はっち
- hacchi@city.hachinohe.aomori.jp
- TEL
- 0178-22-8228
- FAX
- 0178-22-8808