魚ラボ

【報告】第2回魚ラボ会「魚屋のいい仕事」

7月12日(土)に第2回魚ラボ会「魚屋のいい仕事」を開催しました。
ゲストは六日町(肴町)の老舗魚店「福真」の社長、福田充宏さんです。

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福田さんが、長年魚を扱って来たご経験からさまざまなお話を伺い、最後には鯵の三枚下ろしをみんなで実習。
第1回魚ラボ会で上田勝彦さんに教えて頂いた魚の湯煮にも挑戦しました。

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●肴町の歴史
八戸藩開藩350年を迎えましたが、八戸藩による町割で6日の日に市が立ったのが現在の六日町です。
土地柄、魚を売る人たちがここに集まったことから、やがて肴町と呼ばれるようになりました。
福田さんは昭和22年生まれですが、福田さんが子どもだった頃は店の周辺は軒並み魚屋でした。
しかし、高度経済成長とともに、どんどん魚屋は消えていき、平成に入ると、福真さんともう一軒しか魚屋はなくなっていました。
そして、とうとう5年前に、福真さん一軒だけになりました。

●魚と季節
昔、仙台の魚屋で修業していたときに、「春はあけぼの、鯛がうまいよ」という呼び込みを聞いたことがあるといいます。
「カキは桜が咲くまで」「アンコウは梅が咲くまで」などというように、魚は季節を伝えてくれます。
また、八戸では天然のアユを「金アユ」と呼びます。天然のアユは金のように貴重だから、こんなふうに呼ぶのです。きれいな呼び方です。
それから出会いもの(相性のよい食材の組み合わせ)で、「ニシンにウド」「イワシにはヒエ飯」なんて言います。本当に合いますよ、と福田さんはおっしゃっていました。

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●魚屋の仕事
朝は市場の競りが7時から。朝はまず市場に行きます。競りから帰って、8時か9時くらいには店を開けます。
場所柄、夜までお客さんが来ます。飲食店の注文にも応えなければならないため、夜9時頃までお店を開けています。
コツコツと毎日やって来たこと、従業員に恵まれたこと、また、早くから競りに参入したことが、今もなお、店を続けていられることにつながったと福田さんは語ります。
魚を買って行ってくださったお客さんが、「こんなふうに料理して食べたら家族みんなが喜んで食べてくれた」なんていう話をしてくれることが、魚屋として心からうれしい瞬間と話す福田さんの目はキラキラと輝いていました。

●実習
福田さんからコツを伝授していただきながら、アジの三枚下ろしを実習しました。
みなさん、かなり上手で、「レベルが高い!」と福田さんからほめていただきました。

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続いて、福田さんにお持ちいただいた金目鯛の切り身で、湯煮に挑戦!
酒を入れた湯に切り身を入れ、煮立たせないように約1分。身がほぐれてきたら完成です。
ポン酢とネギで食べました。簡単、しかも実に美味!さらに片付けも簡単です。ぜひみなさんもお試しあれ。

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八戸の漁師たちが獲った生魚を、まちなかの魚屋さんが店先に並べてくれる。
市民は家庭で新鮮な魚を味わうことができ、八戸の横丁の飲食店も地元の魚をお客様に提供できる。
魚の消費のほとんどが冷凍魚という現状の中で、まさに理想的な地産地消が身近なところにあったことを、私たちは発見しました。
もちろん福真さんで扱うのは地元の生魚だけではありませんが、街の中で新鮮な地元の魚を手に入れられるなんて、本当に幸せなことだと思います。
福田さんの仕事は、魚のまち八戸の魚食文化を支える原動力。
「はっち魚ラボ」としては、「魚屋のいい仕事」を「魚ラボ的重要無形文化財」に指定したいと思います。

8月発行の魚ラボ新聞4号に、詳しい記録を掲載します。お楽しみに。