天羽やよい展ー名もなき南部女に捧げる刺しの花ーをシェア
天羽やよい展 ―名もなき南部女に捧げる刺しの花― Amou Yayoi Exhibition ― Embroidery of a Prayer Dedicated to a Nameless Nanbu Woman
- 会 期
- 2024年9月14日(土)〜9月29日(日)
- 休 場
- 火・水曜日
- 開場時間
- 10:00〜17:00
※金・土曜日は19:00まで - 会 場
- はっち2階 シアター2
- 入場無料
- 主 催
- 八戸ポータルミュージアム
- 展示デザイン TRNK 山口達彦
- ビジュアルデザイン ROUTE 小田嶋暁子
祈りのふるまいとしての手しごと「南部菱刺し」 “Nanbu Hishizashi”: Prayers in Embroidery
南部菱刺しのさまざまな型こ(菱形の模様)を組み合わせ、まるで絵筆で抽象画を描くように、針と糸で独創的な菱刺しを施す天羽やよい。本展覧会では、天羽が2017年から刺し続けてきた未発表の新作帯を中心に、菱刺しの魅力と天羽の創作活動について紹介します。
南部菱刺しは、江戸時代後期、青森県東部を含む南部地方農村部で発祥したといわれています。綿布が貴重な時代、農民たちの着物は麻布でした。保温性と貴重な布を補強するために布目を埋めるように施された刺し子が菱刺しの始まりです。1996年には青森県伝統工芸品に指定されました。
天羽の菱刺しは、かつての青森の農村部で行われていたように、布を隙間なく刺し埋めていく「総刺し」を旨としています。それは、寒さ厳しい東北で生き抜くため、家族の衣にびっしりと菱刺しを施した南部の女性たちへの畏敬の念として、自らのものづくりに課した姿勢です。菱刺しに出会ってからおよそ半世紀、日々朝から日が暮れるまで、刺し続けるという天羽の手しごとは、菱刺しを遺した名もなき南部女に捧げる祈りのふるまいなのです。総刺しの密度と柔らかい草木染めの糸が魅せる、美しくも力強い天羽やよいの刺しの世界をどうぞお楽しみください。
プロフィール
天羽やよい(1948年東京生まれ、1975年より青森県八戸市在住)
南部菱刺し制作者・青森県伝統工芸士。南部菱刺しを生活の中心において八戸での日々を過ごす天羽やよい。青森県民芸運動の中心人物であった青森県民藝協会会長の相馬貞三氏 (1908-1989) との邂逅や民俗学者・田中忠三郎氏(1933-2013)との交流を経て、南部菱刺しの生まれた歴史的背景と「名もなき南部女」を想い刺し続ける天羽がたどり着いた制作の境地は、禅的な思想にも似ている。2024年7月に、南部菱刺しとの出会い、さまざまなひとたちや出来事との邂逅を綴り、作品写真とともにまとめた書籍「南部菱刺し 刺しが教えてくれること」(東京図書出版)を出版した。
Amou Yayoi is a traditional artisan of Nanbu Hishizashi certified by Aomori Prefecture. In her work, the traditional diamond pattern of Nanbu Hishizashi is expressed in a modern, sophisticated and beautiful arrangement.
青森県の伝統工芸「南部菱刺し」
南部菱刺しは、青森県南部地方に伝わる刺し子で、津軽地方のこぎん刺し(青森県)、庄内刺し子(山形県)とともに日本三大刺し子に数えられる伝統的な手しごとです。菱刺しはこぎん刺しと同じく、布の目を数えながら糸を刺していきますが、菱刺しは2,4目と偶数目を、こぎん刺しは1,3目と奇数を刺して一段一段積み上げていく違いがあり、前者は菱形、後者は正方形の模様が出来上がります。
菱刺しは、布の気密性を上げて寒さを防ぎ貴重な布を補強する生活の知恵でした。1926年にはじまった民藝運動で柳宗悦氏(1889〜1961)がその美しさを高く評価したことで、地元八戸市でも民俗学者の小井川潤次郎氏(1888〜1974)が中心となり、技術の継承や古物の収集が行われ復興運動が興りました。菱刺しは1996年に青森県伝統工芸品に指定され、現在9名の伝統工芸士と愛好家らによって技術の継承がなされています。
“Nanbu Hishizashi“ is a traditional embroidery from eastern Aomori Prefecture.
This embroidery was invented by women in rural areas as a way of making cloth more airtight, protecting from the cold, and reinforcing precious cloth. “Nanbu Hishizashi'' was created approximately 200 years ago, and it is characterized by delicate diamond-shaped patterns left behind by women, and shows outstanding beauty among many Japanese handicrafts.
関連イベント
① トークイベント「刺しが教えてくれること」
天羽やよいが近年の制作や青森で刺し続けることで感じた菱刺しのことなどをお話します。
天羽やよい(南部菱刺し制作者・青森県伝統工芸士)
9月21日(土)13:30~15:00
会 場:はっち2階 ギャラリー2
定 員:30人程度 ※要申込・先着順。定員になり次第締め切り
②南部菱刺しアカデミックトーク「八戸と南部菱刺し〜用の美の魅力について」
東北の民藝運動から南部菱刺しの歴史的・造形的な意義を探るトークイベント。
川守田礼子(八戸工業大学 感性デザイン学部 感性デザイン学科 教授)、伊多波麻衣子(八戸ポータルミュージアム学芸員)
9月22日(日)13:30~15:00
会 場:はっち1階 シアター1
定 員:40人程度 ※要申込・先着順。定員になり次第締め切り
申込方法
電話:0178-22-8228
(はっちインフォメーション)
※8月23日(金)9:00から受付開始
※申込みフォームでの申し込みは9月16日(月・祝)まで
問合せ
八戸ポータルミュージアム はっち
「天羽やよい展」担当
〒031-0032 青森県八戸市三日町11-1
https://hacchi.jp
TEL 0178-22-8228
FAX 0178-22-8808