No.44

伝統にこそ、最先端の新しさが秘められている

伝統の津軽塗を斬新な感覚のアクセサリーに生かす。
ローカルな技を、世界の人を魅了するデザインへ。
伝統を継承し昇華させるジュエリーデザイナーの挑戦は続く。

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島守宏和
取材・文 中野桃花

 伝統と継承。その2つは共にあるものだとそれまでの私は思っていた。その人は「継承はその技術をどんどん続けていくことであって、伝統は時代に合わせて変わっていくもの」と言った。
 ランドプロテクト・島守宏和さん。鮫で津軽塗など漆を使ったアクセサリーなどを作る職人。アーティストとも言える。彼はまるで俳優のように、纏(まと)う空気さえもかっこいい、そんな方だった。
 インタビューした場所は島守さんの工房。まず目に入ったのは木の壁、そしてガラスケースの中で幻想的に輝く津軽塗の指輪。私は箸や丸盆でしか津軽塗や、漆塗りを見たことがなかったので新鮮だった。「昔のものだけど、一部分アクセントで漆を入れるとおしゃれ」と言っていたが、その通りだと思った。食器でも、全体を塗るよりも、ワンポイントでさりげなく入っているものは、買いたくなる。島守さんの作る色とりどりで形が特徴的な作品は確実に私の心を掴んでいた。
 話していて感じたものがある。漆塗りに対しての愛だ。島守さんは「今はないけれど、初めの頃は、売るのが凄くもったいないと思っていた。」と話した。我が子を外に出すような感覚だったと言う。自分は作品と商品を分けていて、作品は自分で表現したいと思ったもの、そう言った。
 ちなみに高校の時、島守さんは職人になるとは思いもしなかったらしい。「高校の時って、なかなか何したいとか、何の仕事があるとかわからなかった」と島守さんは話す。高校卒業後は、視野を広げようと、もともと手を動かすのが好きだったため、デザイン系の大学へ進学した。そこでアクセサリーについて学んだ。「刀の鍔(つば)とかを彫る技術が日本は昔から凄くて。」と伝統工芸の美しさに触れた島守さんは自分も伝統工芸をやりたいと思い、やるからには青森県のものを、そう考え、津軽塗に行き着いた。大学卒業後に4年間弘前で津軽塗を学んだ。好きな事を仕事にするのは、ストレスも少ないし、なにより続けやすかったと話してくれた。
 さて、前にも書いた通り、島守さんは見た目もとてもかっこいい。しかし話しているうちに外見だけでなく内面的にも美しい人だとわかったのだ。私の質問に対して、包み隠さず自分の思うことを答えてくれるのだ。飾らないかっこよさ。久しぶりにグッと来た。
 最後に、将来ものづくりを生業にしていきたいと思う若者への提案を伺った。「経済的には、ものづくりってなかなか難しいし、稼ぐまでが大変。でも、やりたいと思ったらやった方がいい。たとえ不器用でも、関わり方は、ものづくりだけでなくプロデュースするとか、たくさんあるから。何でもやってみることが大切。」若手クリエイターから未来のクリエイターへのメッセージには、リアリティがこもっていた。



取材に応えてくれた方

島守宏和(しまもりひろかず)/プロフィール
1984年八戸市生まれ。長岡造形大学工芸デザインコース卒業後、青森県弘前市津軽塗技術研修所にて、漆塗り、津軽塗の基礎を学ぶ。2011年八戸市に戻り、漆塗りの新たな可能性を求め制作活動を行っている。

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取材と文

中野桃花(なかのももか)/プロフィール
八戸東高校で演劇部に所属してます。趣味は料理する事、食べる事。読書に、最近流行りのDIY。今現在悩んでいる事は、自分の作ったお菓子が美味しくてついつい食べ過ぎてしまうこと。

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